腰痛と言っても、下肢に痺れを伴うものから腰の張り感まで、人それぞれに症状が異なります。
大別すると、次の3つが考えられます。
脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニア、腰椎分離・辷り症など、背骨やその周囲の靭帯などの組織の変化により、腰のまわりの鈍痛や、下肢の痺れなどを伴う腰痛が代表的です。高齢者の方(特に女性)には軽い尻もちなどで腰の骨が潰れてしまう(圧迫骨折)ことで夜も眠れない腰の痛みが出る方もいます。このような腰痛は、強い痛みが続く為に腰のまわりの筋肉が硬くなってしまったり、血流が悪くなったりすることで更に腰痛が慢性化したり悪化したりします。
販売員などの長時間の立ち仕事をする職種では、腰にストレスのかかる姿勢を取り続けることで腰痛になりやすいです。また、主婦の方でも腰への負担を強めやすい前かがみの姿勢で台所仕事などを習慣的に行っていると腰痛になることがあります。不良姿勢をとりやすいパソコン操作やデスクワークが原因の慢性的な腰痛もあります。このような動作や姿勢による腰の痛みは、腰の筋肉が頑張りすぎて硬くなったり、知らない間に背骨を守る腹筋や背筋がやせ細ってしまい、腰が不安定になって症状を悪化させていることもあります。
女性特有の腰痛です。産前の腰痛は、安定期以降のお腹の重みを腰の筋肉が頑張って支え続けなければならない為に腰痛になりやすいようです。また、出産時には胎児が産道を通る為に女性ホルモンの一種によって骨盤の結合がゆるみます。その後腹部の弛みや骨盤の緩んだ結合は徐々に改善されていくのですが、腹筋が弱いままであったり、骨盤が不安定な状態のままになる人もいます。腹筋が弱くなると姿勢を保つために背筋にばかりたよってしまうことになるので腰痛の原因となります。
このように腰痛といっても、様々な要因により痛みが出現します。まずは自己判断せずに専門医を訪れて原因となる病気を診断していただくことが重要となります。
※当研究所では、ご希望により専門医によるカウンセリングも実施しております。
腰痛を起こすと筋肉が硬くなり背骨の動きが悪くなります。また腰痛を持った方の多くが背骨だけでなく股関節の動きが悪くなり、これがさらに腰痛を起こす原因となります。PNFを用いて筋肉を働かせながらリラクゼーションすることにより、ストレッチに比べても安全でより効果的な柔軟性の獲得が可能になります。
腰痛を引き起こすと痛みを回避するため身体の使い方にゆがみが生じます。また腰痛を起こす方は、もともと姿勢が悪いことが多いです。腰痛を起こさずに日常生活を送るためには、まず正しい姿勢で筋肉が正常に働くことが大切になります。PNFでは姿勢を正しい位置に持ってくるだけでなく、正しい姿勢で筋肉が正常に働くよう働きかけていきます。
背骨を守り、身体を安定させる筋肉は深いところにあるので、インナーマッスル(深層筋)などと呼ばれます。インナーマッスルが大事な役割をしていることはテレビや雑誌などでも紹介されていますのでご存じの方もいらっしゃると思います。PNFはこれらのインナーマッスルの感覚器に刺激を入れることで強力に活性化することができます。PNFを行うことで背骨を守る筋肉がたくさん働き、身体が安定します。また、筋肉がたくさん働くと血流が増加して血のめぐりが良くなり、筋肉が柔らかくなります。身体が安定すると無理な姿勢が改善されるために姿勢や動作がよくなり、腰痛が軽減することになります。
柔軟性が改善し筋力がついて腰痛が軽減しても、日常生活での身体の使い方が悪いとすぐに再発してしまいます。腰痛の原因となる病気を引き起こす一番大きな理由は、この日常での身体の使い方の悪さと考えられます。腰痛の軽減と共に身体の正しい使い方を覚えることが腰痛へのアプローチの中で最も重要な要素の一つです。