こんにちは。今回は理学療療法士の岡安が担当します。
「最近、頭痛がひどい…」
そんな声を耳にすることが増えていませんか?季節の変わり目、肩こりや疲れ、ストレスといった様々な要因で頭痛が起こることはよくありますが、実はその“頭痛のタイプ”によって対処法が変わることをご存じでしょうか。
私も頭痛持ちです
(継続して頭痛外来にて治療しております
)
今回は、国際頭痛学会が定めた「国際頭痛分類第3版(ICHD-3)」に基づいて、代表的な一次性頭痛に対する理学療法(フィジカルセラピー)や運動の効果をご紹介しながら、頭痛のメカニズムとして注目される「三叉神経説」についても解説したいと思います。
一次性頭痛とは?
一次性頭痛とは、特定の病気が原因ではなく、頭痛があるタイプです。代表的なものは以下の3つになります。
• 緊張型頭痛(Tension-Type Headache)
• 片頭痛(Migraine)
• 頸部原性頭痛(Cervicogenic Headache)
それぞれの頭痛は、痛みの場所や性質、原因、そして対処法が異なります。
三叉神経説とは?
三叉神経説は、片頭痛や頸部原性頭痛のメカニズムを説明する重要な理論です。
三叉神経は、顔面の感覚を司る神経で、脳の血管や硬膜にも分布しています。
この神経が何らかの刺激(ストレス、ホルモン変化、姿勢不良など)を受けると、炎症性物質(CGRPなど)を放出し、痛みを引き起こすと考えられています。
さらに、頸部の神経(C1〜C3)と三叉神経が脳幹で連絡しているため、首の不調が顔や頭の痛みとして現れることもあります。これが「頸部原性頭痛」や「片頭痛」に理学療法が有効な理由のひとつです。
緊張型頭痛には「運動+姿勢改善」が最強コンビ!
📍特徴:頭を締め付けるような鈍い痛みが、後頭部や側頭部、首まわりに広がる。
このタイプは、肩こりやストレス、悪い姿勢が原因となることが多く、理学療法との相性が抜群です。
🔶おすすめの対処法:
• 頸部・肩甲帯のストレッチ
• 姿勢矯正(スマホ首や猫背の改善)
• 軽い有酸素運動(ウォーキング・ヨガ)
• 筋膜リリースやマッサージ
• ストレスマネジメント(深呼吸・瞑想)
理学療法士による評価とエクササイズの指導によって、慢性的な頭痛の頻度や強度が大幅に軽減されるという研究も多く発表されています。
片頭痛には「個別対応」がカギ
📍特徴:片側だけの拍動性の痛み、吐き気、光や音に敏感になる。
片頭痛は、脳の神経や血管が関与する病態で、激しい運動が逆に症状を悪化させることもあります。
🔶ポイント:
• 発作中は安静が第一
• 発作予防には中程度の有酸素運動(例:1日30分、週3回)が有効なことも
• 頸部の機能改善が効果を示す場合あり
• 疼痛神経科学教育(痛みのメカニズムを知る)で不安軽減
片頭痛は人によってトリガーが異なるため、理学療法士や医師による個別評価が必要不可欠です。
頸部原性頭痛には「専門的な理学療法」が効果的!
📍特徴:首の動きで痛みが悪化したり、首や後頭部から頭痛が広がる。
このタイプは首の筋肉や関節の機能障害によって起こるため、理学療法がもっとも効果を発揮します。
🔶有効な介入法:
• 頸椎へのマニピュレーション(専門家による安全な手技)
• 頭部・頸部の安定化エクササイズ
• 姿勢・筋バランスの改善
これらの治療は、理学療法士が身体評価をもとに、安全かつ的確にプログラムを作成・実施してくれます。
頭痛ケアに理学療法を取り入れるメリット
• 薬に頼らず、根本からの改善が目指せる
• 副作用が少なく、予防的な効果も期待できる
• ストレスや姿勢改善など、頭痛以外の体調管理にもプラス
現在の頭痛治療には医師を始めとする多職種連携によるケアが進んでいます。
まとめ
頭痛とひと口に言っても、そのタイプによって対処法がまったく異なります。対処法には薬物療法など多様な方法があります。中でも理学療法や運動は、「緊張型頭痛」「頸部原性頭痛」には特に有効な可能性があります。片頭痛には個別対応を要します。
✅ 理学療法の介入によって、慢性頭痛の改善や再発予防につながる可能性が高い。
✅ 自分の頭痛タイプを知ることが、正しいセルフケアへの第一歩。
つらい頭痛に悩んでいる方は、ぜひ一度、専門医や理学療法士に相談してみてはいかがでしょうか?

