こんにちは。
本日は御茶ノ水の武原が担当させて頂きます。
だいぶ暖かい陽気になり、過ごしやすくなってきました
先日、小春日和のなか、お客様が店長をされている、古美術店「アルテクラシカ」にお邪魔させて頂きました
こちらのお店は、昨年春に根津美術館のお向かいにオープンしたのですが、以前からお話を聞いていて、とても興味深く思っていたので、足を運んでみました。
お店のコンセプトは、「美術品としての抹茶茶碗を日々の生活の中で実際に使い、特別な時間を楽しむという上質なライフスタイルを提案する」というものだそうです。
江戸時代の抹茶茶碗を扱っており、お店に入ると、一碗一碗じっくりと向き合い、その表情を感じられる空間が広がっており、数百年大切に愛玩され伝わってきた茶碗を、実際に手に取ることができます。
店長の荒木様に、その一碗一碗が江戸時代からどのような足跡をたどってきたかという茶碗の物語を教えて頂きました。
その話をうかがうと、現代までよくぞ残ってきたという貴さを覚えました。
一碗一碗が唯一無二のものにと、親しみの気持ちをこめて「銘」(別名)をつけることがあるそうです。茶碗を眺めていると、銘はどのようにつけられ伝わってきたのか、背景がなんとなく分かってくるものなのだ、と教えてもらいました。
そんな茶碗物語をひとつご紹介させて頂きます。
上記の茶碗は、江戸時代中期ころのもので、「三保」という銘がついているそうで、茶色く、表情のある茶碗からは松の幹の力強さを、中に抹茶が入ると松葉の鮮やかな緑を想うことができます。松は、うつろう季節の中でもその緑色を保ち年月を経ても変わることはないので、古来より縁起のよい植物として親しまれているといわれております。
おそらく、その景色が凝縮された茶碗に、日本三代松原のひとつとされる静岡県の三保の松原を映し、「三保」という銘をつけたのかな、といにしえへの想いへとつながっていきます。
私たちも日常で使っている「茶碗」という美術品からみる歴史物語。
その小さな器からは人々の想いを身近かに感じることができ、不思議な感覚に誘われます。
青山へお越しの際は、古美術を身近に親しめるお店「アルテクラシカ」へ是非お立ち寄り頂き、茶碗談義に花を咲かせてみてください。